真新しい家は遊水地の候補に 九州豪雨1年、揺れる再建
熊本県を中心に大きな被害が出た記録的豪雨災害から、4日で1年を迎えた。一連の九州豪雨では、九州5県で災害関連死を含む79人が死亡。熊本県では、氾濫(はんらん)した球磨(くま)川流域を中心に、今も約3700人が仮設住宅などでの仮住まいを余儀なくされている。
球磨川沿いの特別養護老人ホーム「千寿園」(球磨村)の入所者14人が亡くなるなど、熊本県内では災害関連死2人を含む計67人が犠牲になり、2人が行方不明となった。県によると、住宅約4600棟が全半壊。自治体が民間住宅を借り上げて被災者に貸す「みなし仮設住宅」を含め、6月末時点で1611世帯3675人が仮住まいを続ける。
人吉市が1825人と最も多く、球磨村938人、芦北町377人など球磨川流域の住民が大半を占める。このほか、被災した自宅に住んでいて行政の支援が必要な「在宅避難」世帯も約1600ある。
鉄道など交通インフラにも深刻な被害が出た。JR肥薩線は鉄橋が二つ流されるなどして八代(熊本県八代市)―吉松(鹿児島県湧水町)間で不通が続く。第三セクターのくま川鉄道は全線運休となっている。
治水策をめぐっては、国や熊本県などが、球磨川最大の支流である川辺川への流水型ダム整備を含む計画を3月に公表。流域全体で対策を進めている。
球磨川沿いの水没した集落では、壊れた家の公費解体が相次ぐ。修理して生活を再建する住民もいるが、国や県が示す治水策に大きな影響を受けている。
九州豪雨では、球磨川で大きな被害が出ました。国や県は治水策を進めますが、水没した地域の住民たちは生活再建で苦しい判断を強いられています。
進む「公費解体」、戻らぬ集落
「公費解体」…