福井県は、2024年春の北陸新幹線敦賀開業に伴い、JR西日本から経営分離される北陸線での特急列車の存続を断念した。杉本達治知事が11日の定例会見で明らかにした。関西、中京と北陸をつなぐ「サンダーバード」や「しらさぎ」の特急は、敦賀駅が終着駅となり、新幹線で金沢・福井方面から関西・中京方面に向かう乗客も、その逆の乗客もそれぞれ、敦賀駅で乗り換えることになる。

 新幹線と並行して走るJR北陸線の石川県境から敦賀までの区間については、開業後は県や市町、民間が出資する第三セクターに経営が引き継がれる予定だが、特急の運行については、存続させるよう県がJR側と協議を続けてきた。

 杉本知事によると、JRや国から「開業後に特急が存続した例はなく、経営への影響が大きい」として拒否された▽富山・石川両県も特急存続に否定的で、敦賀駅での乗り換えの利便性の確保を優先している▽沿線市町が三セク会社の収支への影響を心配していることなどから、協議打ち切りに踏み切ったという。

 また、県の試算でも、サンダーバードを福井駅まで1日3往復させた場合、車両の取得費に約84億円かかるほか、三セク会社に車両維持費や人件費が発生。JR貨物の線路使用料も減少し、特急収入を加えても、毎年1・3億円の赤字が見込まれる。

 今後県は、敦賀駅での乗り換えの利便性の確保や、料金負担の軽減などをJR側に求める構えだ。

 一方、こうした県の方針に、特急存続を求めてきた市民団体「北陸新幹線福井延伸と在来線を考える会」は強く反発。「県民への裏切り行為。引き続き特急存続を強く求める」という抗議文を提出した。(堀川敬部)

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