検証委「行政ゆがめられた」総務省の外資規制対応を批判

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 総務省幹部らへの一連の接待の行政への影響を調べていた「情報通信行政検証委員会」(座長・吉野弦太弁護士)は4日、東北新社の接待にかかわる検証結果を公表した。同社の外資規制違反については、総務省の担当課長らは2017年8月に「認識していた可能性が高い」と指摘。当時認定を取り消さなかったことは「行政がゆがめられたとの指摘を免れない」と断じた。

 検証委は、当時認定を取り消さなかった理由は「BS4K推進に影響しないよう、取り消さないことが適切との自己正当化が図れた」と推認。接待による影響は「確認されなかった」としたが、吉野座長は、一連の接待について「行政の信頼を損なったことは明らか。なれ合いやムラ意識につながった可能性を今後検証する」と述べた。

 検証委の報告書は、東北新社の担当者が17年8月18日、衛星放送の認可を担当する井幡晃三衛星・地域放送課長(現放送政策課長)と会い、違反状況などを共有した可能性が高いとした。同課担当者が当時、違反について会話していたことも確認した。ただ、井幡氏と同課担当者らは違反の報告は「覚えていない」と全面否定しているという。

 一方、東北新社は鈴木信也・情報流通行政局総務課長にも違反を伝えたと説明していたが、検証委では裏付ける資料がなく、事実認定はできないとした。

 放送法では、衛星放送事業者の外資比率が2割以上になると放送はできず、総務相が認定を取り消さなければならないとしている。総務省は17年当時は東北新社の認定を取り消さず、規制違反を知ったのは今年3月だとしていた。

 検証委は今後、NTTなどによる接待も調査対象に加え、再発防止策も検討する。

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