菅首相「ジョーと共に脱炭素」 46%はおぼろげなのか

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石井潤一郎 戸田政考
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 菅義偉首相(72)が先に掲げた9年後の温室効果ガスの削減目標は、一人ひとりの暮らしや社会のありようを変えねば、到達するのは難しい。菅政権の覚悟はいかほどか。

 4月22日午前9時半、首相官邸5階の首相執務室。小泉進次郎環境相(40)は、身を乗り出して首相に訴えた。「高い目標を掲げ、そこに向かって挑戦し続けることが大事です」。これに梶山弘志経済産業相(65)が異論を挟み、「高い目標」を実現するには数値の積み上げが足りない、とする慎重な姿勢を崩さなかった。

 首相が、かねて後見役を務めてきた小泉氏と、かつて「政治の師」と仰いだ故梶山静六官房長官の長男・梶山氏。2030年度の温室効果ガスの新たな削減目標をめぐり、首相は2人と何度もひざを突き合わせてきたが、両氏の主張は折り合わなかった。

 会議開始から20分、首相は最後に口を開いた。「よく、ここまできたよな」。だが、その場で数値を口にすることはなかったという。

 この日は午後9時から、米国主催のオンラインによる「気候変動サミット」が開幕予定だった。日本の新たな目標を国際社会に示すタイムリミットまで半日。首相が読み上げる原稿が事務方に配られたが、肝心の数値目標の部分は伏せられたままだった。「首相の政治判断に委ねられた」。環境、経産両省の幹部らは両手を上げた。

 午後になって、官邸中枢から…

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この記事を書いた人
石井潤一郎
政治部|首相官邸取材キャップ
専門・関心分野
国内政治