日韓外相が会談、対面では昨年2月以来 英国で20分間

安倍龍太郎 ソウル=鈴木拓也
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 主要7カ国(G7)の外相会議出席のため、英ロンドンを訪れている茂木敏充外相は5日午前(日本時間同日午後)、韓国の鄭義溶(チョンウィヨン)外相と初めて会談した。元慰安婦問題などで両国関係の冷え込みは続いており、対面での日韓の外相会談は昨年2月以来となった。

 日本外務省の発表によると、茂木氏と鄭氏の会談は20分間行われた。

 茂木氏は、韓国の裁判所が日本政府に元慰安婦らへの賠償を命じた判決をめぐり、韓国側に改めて適切な措置を講ずるよう求めた。また元徴用工訴訟をめぐり、日本企業の資産が売却される「現金化」は「絶対に避けなければならない」とも指摘。日本側が受け入れ可能な解決策を早期に示すよう促した。

 一方、韓国外交省の発表によると、鄭氏は茂木氏に対し、元慰安婦や元徴用工の問題について「日本側の正しい歴史認識がなければ過去の歴史問題は解決できない」と強調し、韓国側の立場を説明した。

 また、鄭氏は、日本政府が東京電力福島第一原発の処理水を海洋放出する方針を決めたことについても言及。「周辺国と十分な事前協議がなかった」として、決定に反対する意思を伝えた。そのうえで、「汚染水の放流は韓国国民の健康と安全、海洋環境に潜在的な脅威を与える可能性がある」と述べ、慎重な対応を求めた。

 両外相は日韓関係を健全な関係に戻すべく、外交当局間の意思疎通を継続することで一致した。

 米バイデン政権は対中国、対北朝鮮の戦略として、日米韓3カ国の連携を特に重視している。日韓関係改善の見通しが立っていないなかで今回、会談が実現した背景には米国の意向もありそうだ。日本政府関係者は「茂木氏が米側の顔を立てた」と解説した。

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