「30年までにアマゾン違法伐採ゼロ」ブラジル大統領
南米ブラジルのボルソナーロ大統領は22日、オンラインで出席した気候変動サミットで、「2030年までにアマゾンの違法な森林伐採をゼロにする」との方針を示した。ボルソナーロ政権が「環境保護に消極的だ」とする国際社会の評価を覆したい狙いがあるとみられるが、実現には疑問符がついている。
サミットでボルソナーロ氏は、「気候変動と戦う国際的な取り組みにブラジル政府も関与する」と演説。「予算を2倍にし、環境犯罪の取り締まりを強化することを決めた」と表明した。また、温室効果ガスを排出ゼロにする期限を10年前倒しし、50年までとすると述べた。ただ、具体的な削減方法については触れなかった。
ボルソナーロ氏はこれまで、アマゾンの開発規制の緩和を主張し、監視機関の人員や予算を削減。欧米からの批判には「アマゾンはブラジルの主権だ」などと述べ、対応を後回しにしてきた。だが、米国が地球温暖化に懐疑的なトランプ前政権から、気候変動対策に積極的に取り組むとするバイデン政権に代わったことで、開き直りを続けられなくなった形だ。
ただ、ボルソナーロ政権が目標達成に向けて、本当に取り組むのかは、演説前から疑問視されている。
同政権はアマゾン熱帯雨林の保護対策には、国際社会などから10億ドルの支援が必要だと主張してきた。今回のボルソナーロ氏の演説でも額こそ明示しなかったが、国際的な支援の必要性を訴えた。欧州諸国は、違法伐採を減らしたという実績を先に示すよう求めており、米バイデン政権も同調すると報じられている。
アマゾンで環境犯罪の取り締まりを担当するブラジル政府機関の職員は、「ボルソナーロ政権のせいで、捜査が難しくなっている」と告発。欧米が支援金の条件とする、伐採削減の実現は困難な状況だとしていた。
ブラジルのメディアでは、ボルソナーロ政権が支援金をめぐる駆け引きを続け、本格的な環境保護対策に取り組まない可能性も指摘されている。
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