「第二の創業期」にコロナ禍 JR四国、経営自立なるか

福家司
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 【香川】厳しい経営の続くJR四国は3月末、国の支援に関する法が成立したのを受け、今後10年間の「長期経営ビジョン2030」と、5年間の「中期経営計画2025」(中計)を発表した。経営難に加え、新型コロナウイルスの影響で利用者の減少に歯止めがかからない中、10年後に経営の自立は達成できるのか。

 「第二の創業期だと思う」。西牧世博社長は3月31日の会見で強調した。国からの支援は25年度までで1025億円に上り、瀬戸大橋の維持修繕、多度津工場の全面改修など大型の設備投資、経営安定基金の下支えも盛り込まれた。

 「かなり思い切った支援をいただいた」と感謝し、長期ビジョンでは、30年度のグループの連結売上高を19年度の1・2倍の600億円、鉄道運輸収入を19年度の11億円増の235億円とする目標を掲げた。

 しかし、新型コロナの感染拡大が影を落とす。長期ビジョンと中計には、コロナ禍を加味していない。その一方で、今年度の事業計画にはコロナの影響を盛り込み、44億円の経常赤字を見込んだ。唯一の黒字だった本四備讃線も20年度は赤字見通しという。

 「最初から大きなハンデを背負って、計画は達成できるのか」。会見で報道陣からそんな指摘が相次いだ。西牧社長は「積み上げた数字ではないが、過去には600億円を軽く超えていた時代もあり、そんなに雲をつかむような話ではない。コロナがなければ235億もそんなに無理な計画ではない」と反論した。

 その一方で、「アフターコロナで本当に厳しい状況になれば、計画は見直す必要がある。鍵を握るのは、ビジネスユースとインバウンドがどの程度戻るかだ」との見方も示した。

 中計では、駅ビル、マンションなど非鉄道事業による収益拡大も盛り込んだ。「駅ビルは高松、松山、高知の3カ所は10年以内にめどをつけたい」「10年のうちには自力でマンション事業ができるようにしたい」という。

 赤字路線の存廃について「5年以内に廃止はないと思うが、議論は別。なるべく早く始めたい」と述べた。5カ年の推進計画には19年度の線区別の輸送人員を示したが、「もともと1日当たりの平均通過人員2千人以下は鉄道事業としては成り立たないことを、広く世の中の人にわかってもらいたい」という。

 平均通過人員がその半分の1千人にも満たない路線は予土線、予讃線向井原―伊予大洲間(海回り)、牟岐線阿南―海部間(現在は阿波海南まで)だ。

 運賃値上げについては、「やると意思決定してから最短で1年半、遅くとも5年以内にはやりたい」と踏み込んだ。

 一方で、「当社単独では対処できない課題」としながら、「新幹線等の抜本的高速化の早期実現」を初めて盛り込んだ。

 西牧社長は「10年でできるかというと難しいが、夢を持ちたい。四国4県と期成会が実現に向けて積極的な取り組みをされている。これまで以上に連携し、早期実現に向けてがんばりたい」と話した。(福家司)

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