自民LGBT法案の行方は? 五輪・同性婚判決が圧力に

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二階堂友紀

 自民党内で、性的指向と性自認に関する「理解増進」法案の今国会成立をめざす動きが出ている。同法案は2016年に概要が取りまとめられたが、5年間も棚上げされてきた。東京五輪・パラリンピックや、同性婚をめぐる札幌地裁判決が「外圧」となり、動きの鈍い自民党の背中を押している。

 自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」(委員長=稲田朋美・元防衛相)は今国会にあたり、理解増進法案を少なくとも提出する方針を確認していた。「せめて東京五輪前には」と関係者は言う。五輪憲章の根本原則が、性的指向を含むいかなる理由の差別も受けない権利と自由をうたっているからだ。

 そんな矢先に、17日の札幌地裁判決が出た。同性愛者らに対し、結婚による法的効果の一部すら享受する法的手段を提供していないのは差別にあたる――。判決は、同性婚を認めていない民法などの規定は法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると判断し、法整備に動き出さない立法府の怠慢に警鐘を鳴らした。

「今国会で成立させたい」

 この判決を受け、稲田氏はツイッターで、今国会での成立に踏み込んだ。「自民党は同性婚については慎重だが、LGBTの理解増進法案を目指している。今国会で成立させたい」

 法案はほぼ完成している。「国民の理解増進に関する施策の推進」や「多様性に寛容な社会の実現」を目的とし、国や地方自治体の役割などを定める基本法だ。基本計画の策定、施策の実施状況の公表、関係省庁による連絡会議の設置も盛り込んでいる。

 だが、成立までは紆余(うよ)曲折が予想される。保守派に強い反対論があるためだ。

■同性婚と切り離して議論…

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この記事を書いた人
二階堂友紀
東京社会部
専門・関心分野
人権 性や家族のあり方の多様性 政治と社会