ブルトレを遍路宿に 鹿児島から香川へ来月にも移設

福家司
【動画】香川に移設することになった鹿児島のブルートレイン車両=福家司撮影
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 鹿児島で雨ざらしになっている寝台特急ブルートレイン」を、四国で遍路宿としてよみがえらせるプロジェクトがいよいよ動き出す。来週にも寝台車2両が香川県観音寺市に移設されることになった。

 プロジェクトを進めているのは、善通寺市でうどん店(休業中)を営む岸井正樹さん(60)。2008年まで寝台特急「なは」(新大阪―西鹿児島間)などとして走っていた2人用個室デュエット」と2段式のB寝台車の車両を鹿児島県阿久根市から移設して修繕し、宿泊施設としてオープンさせる計画を立てた。

 資金調達のため、19、20年に2度にわたって妻とクラウドファンディングを実施し、2両分の移設費用計約1700万円を集めた。14年まで車両を宿泊施設として運営していた地元のNPO法人(解散)の管財人に連絡を取り、1両当たり100万円で買い取った。

 移設先は四国霊場66番札所・雲辺寺に登るロープウェーの山麓(さんろく)駅駐車場に決まった。業者に依頼し、車両をトレーラーに載せて九州南岸を回り、大分県から愛媛県までフェリーで運び、山麓駅駐車場に到着する4日がかりのルートだ。

 3月9日、岸井さんが移設の下見のため、阿久根市を訪れた。2両は7年間も露天で放置されていただけに、塗装がはがれ落ちたり、ガラスが割れたりして傷みが目立つ。特に3両しか製造されず、貴重なデュエットの車両は車内外とも傷みがひどかった。

 岸井さんを支援する福岡県筑紫野市の鉄道模型会社社長、手嶋康人さんもスタッフと訪れ、ひび割れた塗装が輸送中にはがれ落ちないよう、削り落とす作業をした。移設予定地には2両を置くための線路の敷設を2月に済ませており、到着後は車体の塗り直しも担当する。手嶋さんは「外見は色があせて汚くみえるが、中身はしっかりしているので、十分再生できると思う」と話す。

 車両は温室内に入れ、宿泊者が自炊できるキッチン、トイレ・シャワー棟などを併設した宿泊施設として、年内にもオープンさせる予定だ。近くには、うどん店や自らの就農経験を生かした花の売店なども開きたいという。

 岸井さんは「かなり苦労したが、いろんな人が手を差し伸べてくれて助かった。開業までの課題はまだ多いが、まずは移設を実現させ、最後までやりとげたい」と話している。(福家司)

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