コロナで犬猫飼う人増えた、でも…殺処分の増加に危機感

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太田匡彦
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 自治体による保護犬・保護猫の譲渡会や、ペット飼育の啓発活動が、コロナ禍で開催しにくくなっていることが朝日新聞の調査でわかった。ペットを飼い始める人が増えていることもあり、適切な譲渡の機会や飼い方への理解が滞ると、今後ペットが自治体に持ち込まれたり殺処分されたりするケースが増えかねない。動物愛護団体などは危機感を募らせている。

 昨年12月、動物愛護行政を所管する都道府県、政令指定都市中核市のすべて計127自治体にアンケートを実施(回答率100%)。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を尋ねたところ(複数回答可)、「人を集める譲渡会が開催しにくくなった」という自治体が77(60・6%)にのぼった。

 「日常的な犬猫の返還・譲渡業務がしにくくなった」とした自治体も21(16・5%)あった。捨てられたり、拾われたりして自治体が収容した保護犬・保護猫に新たな飼い主などをみつける活動が、コロナ禍で阻害されている実態が浮き彫りになった。

 また「動物愛護週間の行事などが開催できなかった」とした自治体は103(81・1%)、「新型コロナに関わる業務の応援などに人手を取られた」という自治体は89(70・1%)に達していた。

 「その他」の自由記入欄に「動物愛護事業の開催ができなくなった」(中部地方の県)、「市民公開講座などの事業が行えず、犬猫の適正飼育についての積極的な啓発ができなかった」(甲信越地方の市)などと回答した自治体も複数あった。ペット飼育にかかわる自治体の啓発活動にも、コロナ禍の影響が出ていることがわかる。

 一方、コロナ禍で在宅勤務が増えるなどした昨春以降、ペットを飼い始める人が増加。2019年度の犬猫あわせた流通量も前年度比3・4%増の延べ約92万6千匹で、20年度はさらに増える見通しだ。ペット市場が過熱する中で保護犬・保護猫の譲渡活動や啓発に支障が出ることは、19年度まで29年連続で減少してきた犬猫の殺処分数が増えることにつながりかねない。

「生活苦で飼育困難」 「ステイホームで苦情が増加」

 20年度上半期の犬猫の収容状況も聞いた(回答自治体数は122)。既に19年度分の5割以上の数を受け入れている自治体が犬では26、猫は97あった。季節繁殖動物の猫は春先に多数の子猫が収容される傾向もあって、上半期で19年度分の8割以上に達している自治体が27あった。

 調査には「コロナ禍で仕事が…

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