韓国の雇用許可制、技能実習制度との違いは 識者に聞く

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機動特派員・織田一
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 賃金の未払いや長時間労働など、外国人技能実習生の劣悪な労働環境が問題となっています。実習生の支援団体や専門家からは、韓国が2004年に導入した雇用許可制度のような仕組みに変えるべきだとの声も出ています。どんな違いがあるのでしょうか。両国の外国人労働者事情に詳しい、日本国際交流センターの李惠珍(イヘジン)シニア・プログラム・オフィサーに聞きました。

韓国の雇用許可制度とは?

《韓国の雇用許可制度》働き手を送り出す国と韓国政府が協定を結んだ上で、期間を区切って外国人労働者を受け入れる枠組み。送り出し国は、韓国で働きたいと希望して韓国語の試験に合格した人のリストを韓国に送る。韓国政府は、国内の雇用情勢を踏まえて、受け入れ業種と人数枠を国別に設定。企業は、求人を出して韓国人を雇う努力をしても集まらなかったことを証明した上で、送り出し国のリストから働き手を選ぶ。働ける期間は原則3年で、4年10カ月まで更新できる。いったん帰国して、条件を満たす形で再入国すれば、さらに4年10カ月の就労が可能。家族の帯同は認めていない。現在の受け入れ業種は、製造業・建設業・サービス業・農畜産業・漁業。昨年の受け入れ枠は5万6千人だった。

 ――韓国で雇用許可制度が始まって17年。どのぐらい活用されていますか。

 「韓国に90日以上いる外国人は、昨年末時点で約161万人。そのうち雇用許可制で来たのは約24万人で、14%を占めています。カンボジア人が最も多く、ネパール人、ベトナム人が続きます」

 「最近は16の送り出し国すべてから、受け入れ枠の拡大を求められています。韓国語の試験に合格しても、有効期間は2年しかなく、受け入れ枠のせいで多くの合格者が出国できずにいるからです。また送り出し国にとって、出稼ぎ者の本国送金は、主要な外貨収入源にもなっています」

なぜ導入に踏みきったのか

 ――以前は韓国も、日本の技能実習制度に似た仕組みでした。

 「韓国は1980年代の前半…

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