水槽の中から「さようなら」 志摩マリンランド営業休止
臼井昭仁
1970年に開館した志摩マリンランドが31日で営業休止に=臼井昭仁撮影
三重県志摩市の志摩マリンランドが31日、営業を休止した。マンボウなど約500種約1万点の生物を飼育し、観光客らの人気を集めていたが、施設の老朽化を理由に51年の歴史に幕を下ろした。
最終日のこの日は通常の2倍以上の客が入り、終日にぎわった。回遊水槽では海女たちがえさやりをした後、「さようなら」「忘れないでね」などと書いたボードを水槽内で掲げ、別れを惜しんだ。
午後6時前には従業員が改札の前に並び、最後の客を見送った。里中知之館長は「長い歴史の中で先輩方が築いてきた飼育技術などを教訓にしながら、新しいことにチャレンジしてきました。水族館の老舗としての役割を全うできたことを誇りに思います」と最後のあいさつをした。
志摩マリンランドは1970年3月に開業。81年にはマンボウの展示施設もできた。パラオオウムガイの飼育槽での孵化(ふか)に世界で初めて成功したほか、淡水魚のネコギギの人工繁殖にも成功している。
上皇さまは、皇太子時代から計3回訪れている。1980年代には年間約40万人が訪れたが、19年度は年間15万人にまで落ち込んでいた。今年度はコロナ禍にも見舞われ、10万人となる見込みだという。
飼育している生物については、ほかの水族館に譲渡する。建物やマンボウのモニュメントについては、解体を含めて検討している。(臼井昭仁)
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