細川ガラシャ「美貌説」めぐる議論 研究者悩ませる魅力

有料記事

小林正典
[PR]

 キリスト教の考え方を日本がどのように受け入れたのか。日本文化を国際的に研究する拠点「国際日本文化研究センター」(京都市日文研)の研究テーマの一つだが、この文脈で、一般的にいわれる細川ガラシャの「美貌(びぼう)説」をめぐる議論が交わされている。

 ガラシャといえば、NHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」に登場する「たま」のこと。主人公の戦国武将明智光秀の娘で、ドラマで芦田愛菜さんが演じるたま(ガラシャ)に関する描写が、日本のキリスト教受容とどう関係してくるのか。

 「美人論」の著書がある井上章一・日文研所長は、2018年のシンポジウムで「同時代の文献上の記録に、ガラシャを美貌の人として取り上げたものはない」との説を唱えた。「日本にキリスト教はあまり浸透しなかったといわれるが、ガラシャを美化するストーリーの浸透には成功したことを伝えたい」との狙いがあったという。

細川ガラシャ

1563(永禄6)年、戦国武将・明智光秀の娘として生まれた。名前は「玉(たま)」。1578(天正6)年に織田信長のすすめで、細川藤孝の嫡男(ちゃくなん)・忠興と結婚する。光秀が信長を討つ本能寺の変のあとは山奥に幽閉される。のちに許され、大坂にある細川家の屋敷へ。そこでキリスト教の洗礼を受け、洗礼名「ガラシャ」を与えられた。関ケ原合戦の直前、石田三成の人質になることを拒み、自害したとされる。

 井上さんによれば、ヨーロッ…

この記事は有料記事です。残り744文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら