太宰治の自宅、聖地で再現 数枚の写真だけをヒントに
作家・太宰治が晩年を過ごし、「走れメロス」などの代表作を執筆した自宅を再現した「太宰治展示室 三鷹の此(こ)の小さい家」が、東京都三鷹市に今月オープンした。生誕から111年。没後72年がたった今も、作品や人柄に引かれ、ゆかり深い三鷹を訪れる太宰ファンは絶えない。
「太宰治展示室」が開設されたのは、JR三鷹駅前のビル「CORAL」5階の市美術ギャラリーの一角。太宰が戦前の1939年9月から、命を絶った48年6月まで、妻や子どもたちと暮らした三鷹市下連雀の借家が再現されている。
広さ約41平米の平屋建てで、入り口には、太宰が三鷹駅近くの踏切遮断機前にたたずむ等身大写真が待ち受ける。
引き戸の玄関を入ると、書斎兼応接間として使われた6畳間があり、実際に床の間にあった学者佐藤一斎の掛け軸が飾られている。太宰がよく着ていたものと似たコート「二重回し」も壁に掛けられていて、実際に羽織って太宰になりきることもできる。
太宰本人が菓子折りの箱の裏に墨で書いた「津島修治(太宰治)」という表札、太宰が描いた油絵といったファンにはたまらない展示も。文机に座って、太宰が書いた原稿の字を書き写す体験もできる。
市によると、太宰の住んだ借家は残されておらず、間取りなどの図面や資料もなかったため、数枚の写真を頼りに復元を進めた。外壁や部屋の質感もできるだけ当時に近づけ、コートは太宰ファンから提供されたものだという。
太宰治の長女津島園子さんは今年4月に78歳で亡くなったが、「皆さんがうちの玄関をくぐって来るようなものが出来たらいい。三鷹の自宅にようこそ、という感じに出来たら」と生前に話していたという。7日、メディアに公開された内覧会に出席した、太宰の孫で衆院議員の津島淳さん(54)は「母はオープンを心待ちにしていた。これを見たら喜ぶだろうなと思う」と話した。
展示室は入場無料。月曜日、年末年始は閉館。午前10時から午後6時まで。問い合わせは、0422・79・0033 市美術ギャラリー太宰治展示室へ。
90編執筆 三鷹はファンの「聖地」
三鷹は太宰ファンにとって「聖地」と言われる。「斜陽」「人間失格」をはじめ、太宰は約150編の小説のうち、約90編を今回再現された自宅のある三鷹で書いた。街中には太宰の生活ぶりがうかがえるスポットも多い。
太宰のお気に入りの場所だっ…
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