旧三江線のトロッコが邑南から県境越え 2月に実証実験

浪間新太
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 【島根】邑南町の旧JR三江線跡地で運行する観光用のトロッコ型車両が来年2月、江の川にかかる鉄橋を通過し、初めて広島県側に乗り入れる。町内でトロッコを活用してきたNPO法人「江の川鉄道」は「廃線から3年。県境越えという悲願が達成できる」と喜ぶ。

 観光庁が進める観光客誘致の「誘客多角化等のための滞在コンテンツ造成」実証事業に採択されて、事業費として上限1600万円の支援を受けて実現することになった。

 江の川鉄道は2018年9月から、邑南町がJR西日本から譲渡された町内の口羽駅、宇都井駅と、両駅周辺の線路を観光資源として活用し、電動のトロッコ型車両を運行してきた。両駅間の約5キロは島根・広島両県境が入り組んでおり、譲渡されていない広島県三次市側の線路の手前で折り返し運行していた。

 江の川鉄道にとって、両駅間を結んだ運行の実現は大きな目標。江の川鉄道事務局の佐々木創さん(27)は「JR西や三次市と協議を続けている」と語る。

 ただ、今回の実証事業では、口羽駅から約1キロ先にあり、県境をまたぐ「第4江川橋梁(きょうりょう)」(長さ約230メートル)までの延伸にとどまる。

 NPO法人伊賀和志江の川鉄道(三次市)と共同で、来年2月に10日間だけ運行する限定的なものだが、佐々木さんは「トロッコで橋を渡るのは初めて。乗客は橋上から川や山など開けた風景を楽しんでもらうことができる。トロッコで県境を越える特別な体験もしてもらえる」と話す。

 橋梁を同町に貸し出すことに合意したJR西米子支社の担当者は「地域振興のための取り組みとして、ぜひ協力したいと考えた」と話す。

 事業費を活用して18人乗りのガソリンで動く車両を新たにリースする予定だという。

 江の川鉄道と邑南町は、観光客の集客など実証実験の成果を踏まえて、口羽―宇都井駅間の運行を目指し、JR西や三次市と継続的に協議していくという。(浪間新太)

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