高校入試、コロナ余波で安全志向に? 内申・面接重視も

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宮坂麻子
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 中学3年生にとって、「内申点」が気になる季節が近づいてきた。新型コロナウイルスの感染予防のため、高校入試でも集団討論が中止になったり、書類選考が増えたり……。首都圏では、内申点や面接が例年以上に重要になる入試も増える。「安全志向」の流れが、これまで以上に加速しそうだ。宮坂麻子

 夕暮れ時の都内の公立中学の校長室前。並べられた椅子に座り、寒さと緊張で手を震わせながら、天井を仰ぎブツブツとつぶやく中3生らがいた。呼ばれた人から校長室に入る。来年1月上旬まで続く、高校入試の「個人面接」の練習だ。内申点が足りず「面接で点数を上げなければ」という生徒も何人かいた。

 「不得意教科と得意教科を教えてください」「高校入学後は、不得意教科をどう克服しますか?」「中学時代に1番力を入れたことは」「最近気になったニュースと理由を」……。予想外の質問に、生徒はつい言葉に詰まる。

 講評では「緊張しても自分に正直に答えることを忘れずに。マスクをしていると顔がよく見えないので、目はしっかり前を見て。前髪を短めにして、表情がよりわかるように。いつもより大きな声で」などと助言する。

都立推薦、例年より入念に練習

 来年1月下旬の都立高校普通科の推薦入試では、個人面接の比重が高まる学校が多い。受験生の面接対策も、例年以上に力が入る。

 昨年度までは1~2日間で、主に、①調査書②個人面接と集団討論③小論文または作文、で合否を出してきた。だが今年度は感染予防の観点から、必須だった集団討論が中止になり、入試も原則1日に。配点は高校判断だが、個人面接の比重が高まる学校も多い。受験する生徒は「集団討論がなくてうれしい半面、話すことは得意ではないので、面接への不安も大きい」と複雑そうだ。

 都立高校の中には、面接の配点を、調査書や小論文に振り分けた高校もある。都立戸山高校(東京都新宿区)では、面接の配点を200点から150点に減らし、調査書を400点から450点に、小論文を200点から300点に増やした。昨年度も250人以上が受験しており、1日で全員面接するには1人10分程度しか取れない。入試担当者は「出したテーマについて数人で約30分話し合う集団討論に比べ、個人面接は事前に指導を受けてきている生徒も多く、あまり差が出ない。コロナ禍でも努力した成果である調査書をしっかり見るなど、全体のバランスを考えた」という。青山や八王子東、立川高校は面接の配点を減らし小論文を増やしている。

 推薦入試ガイダンスも開くウェブメディア「SchoolPost高校受験ナビ」主宰の石井知哉さんは「今年度は、合唱コンクールや体育祭などの行事、部活の大会も少なく、リーダーシップや協調性など面接でアピールできる要素が少ない。内申点が低い生徒ほど、家族らとの事前練習が大切になる」と話す。

神奈川の私立高、目立つ「筆記なし」

 調査書など書類選考だけの入試も増えそうだ。

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