れいわ、約5億円の個人寄付集める N国は借入金多く

河合達郎 田中恭太
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 2019年夏の参院選で議席と2%以上の得票を得て、二つの政治団体が「政党」になった。「れいわ新選組」と「NHKから国民を守る党」。それぞれが独自の手法で、億単位の資金を集めていた。27日に公表された政治資金収支報告書から分析した。

 れいわの特徴は、個人寄付の多さだ。報告書によると、19年4月の政治団体設立から同年末の9カ月間で集めた額は4億9984万円。総収入(6億416万円)の82・7%を占めた。政党別では、共産党の6億4947万円に続く2番目。支部が受け皿となる寄付もある自民党の4億9240万円、旧立憲民主党の3428万円、旧国民民主党の1851万円を上回った。

 朝日新聞の集計では、報告書に記載があった寄付者の数は1万1千人超。そのうち、寄付額1万円以下が約8千人を占めた。山本太郎代表は参院選前、集まった寄付額に応じて、候補者の擁立規模を決めると表明。街頭演説で聴衆に寄付を呼びかけ、ボランティアが会場でカンパを募った。

 山本氏は投開票前夜、東京・新宿での演説会場で、集まった額を「3億9千万円」と明かし、続けた。「外で食べようと思っていたけど我慢した。おかずを1品ずつ減らした。何とか絞り出した1千円。自分のご褒美に何か買おうと思っていた500円。みんながそれぞれ我慢をした」。なけなしのお金が寄せられたとのアピールだった。

 報告書を見ると、個人寄付の覧には150万円の「無職」や100万円の「専業主婦」の記載もあったが、1千円の「派遣社員」や「パート・アルバイト」も数多く並んだ。所属国会議員による一律月7万5千円の寄付(計3億6045万円)が、個人寄付の大半を占めた自民党とは対照的だった。(河合達郎)

N国は借入金が多数 党首「借金、利息つけて返す」

 NHKから国民を守る党の収入総額は約6億8167万円で、前年の収入約331万円から大きくのばした。収入のほとんどを「借入金」としている。

 報告書によると、収入のうち5億5530万円は、212の個人・法人から借りた借入金として計上していた。この結果、総務省に届け出がある政治団体のなかで、収入が14番目に多い団体となり、れいわ新選組や二階派の政治団体を一気に追い抜いた。

 借入先として、立花孝志党首や立花氏の法人、同党の浜田聡参院議員ら同党関係者のほか、200人以上の個人名が記されていた。こうした個人の借入金は1人あたり100万~1千万円だった。

 立花氏は昨年11月、ネット動画で、借金を呼びかけたところ221人から4億4600万円分の申し出を受けた、と報告。元金に年間5~10%の利息をつけて返す、と表明していた。「寄付」は年間5万円を超えると、日付や住所も収支報告書に記載する必要があるが、借入金は不要で、詳細は不明だ。

 支出は計約2億7399万円を計上。うち計約1億3千万円以上を立花氏や立花氏の法人に貸し付けていた。他の収入源としては、個人からの寄付が計約4305万円、政党交付金や返還された供託金計約8183万円があった。田中恭太

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