バース以来34年ぶりのキングはなるか 阪神大山が挑む
プロ野球阪神タイガースから34年ぶりとなる本塁打王が誕生するかもしれない。ここまで4番の大山悠輔内野手(25)が26本を放って、28本でリーグトップを走る巨人の岡本和真内野手(24)を追う。ヤクルトの村上宗隆内野手(20)らも26本で2位に並ぶ。33年もの間、このタイトルから遠ざかるのはセ・リーグでは阪神のみ。残りは8試合。大激戦を制し、悲願はなるか。(内田快)
今季の本塁打王争いは熾烈(しれつ)だ。今月13日の中日戦、大山は26号2ランを放ち、今季初めて岡本を抜いてリーグトップに立った。しかし、その後は当たりがとまり、再び岡本に抜き返され、巨人が優勝を決めた30日には2本差をつけられた。昨季の新人王・村上、巨人・丸佳浩外野手(31)にも追い上げられ、26本で並んでいる。
入団当初から期待されてきたのは、大山のこんな姿だ。茨城・つくば秀英高から白鷗大に進み、大学日本代表で4番を務めた。当時の金本知憲(ともあき)監督に「タイガースの歴史に名を残す4番バッターに」と見込まれ、2016年秋のドラフト会議で1位指名を受けた。
鍛えられた。バットの芯でとらえる能力は秀でていたが、線が細かった1年目は、2軍戦に出場する日をあらかじめ決めて、出ない日はウェートトレーニングに専念させられた。パワーアップを狙った育成方法は球団内で「大山プロジェクト」と名付けられた。
15~19年に1、2軍の打撃コーチを務めた浜中治さん(42)は「右の大砲を育てなければというのは球団の課題だった。金本監督も1軍で使いたかっただろうが、我慢した。こういう育成方法をとったのは、野手では大山が初めてだったと思う」と振り返る。
4年目となる今季、タイミングのとり方などの向上に加え、悔しさも飛躍を後押しした。1年目から7、11、14と少しずつ本塁打を増やしたが、今年6月の開幕時、大山は控えの位置づけだった。外国人野手に追いやられた格好で、これが発奮材料になった。7月に三塁の定位置を奪い返すと、ここまで19本塁打のサンズ外野手(33)、17本塁打のボーア内野手(32)と競り合いながらアーチを増やしていった。
9月には9本を量産し、タイトル争いに名乗りを上げた。「(報道の)みなさんは(本塁打の)数を言いますが、終わったときにどうかというだけなので。いまは目の前の1試合を必死にやるだけです」。本人はいたって素っ気ないが、矢野燿大(あきひろ)監督(51)は期待を隠さない。大山の打点80はトップ岡本と6差のリーグ4位。「本塁打も打点もどっちもタイトルを狙える位置にいる。ここまで来たら、意識しながらどこまで出来るか、貪欲(どんよく)に挑戦してもらいたい」
近年、阪神は本塁打王との縁が薄い。
最後にこの称号を手にしたの…
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