第3回犬探して貼り紙…それだけでDNA「一生、容疑者扱い」

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宮地ゆう 大津智義 編集委員・吉田伸八 グラフィック・米澤章憲
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 名古屋市に住む50代の女性保育士は、パトカーをみると不安に襲われるようになった。

 きっかけは、6年前のある「事件」だ。近所のコンビニで買い物を済ませると、携帯電話が鳴った。「チラシを電柱に貼りましたね。条例に違反している。出頭してください」

 警察署に向かうと、犬を捜すためのチラシを電柱に9枚貼ったことが市の屋外広告物条例違反だと伝えられた。経緯を聴かれ、チラシを貼った現場では「指さし確認」の写真を撮られた。

 1カ月後。再び聴取を受けた。鑑識の部屋に入ると写真撮影され指紋を採られた。「次はDNAを採ります」と言われ、綿棒で口の中から採った。「ついに犯罪者になってしまった」と落ち込んだ。

 数カ月後、女性は不起訴処分になった。だが、採取された自分のDNAはどうなったのか。不安に感じていたが、警察に尋ねても教えてもらえなかった。

 「究極の個人情報」とされるDNAやその型の鑑定結果を、警察はどのように扱い、どう運用しているのか。DNA捜査の実態を追う。

 昨年6月、女性は国を相手取…

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この記事を書いた人
宮地ゆう
編集委員
専門・関心分野
IT、プライバシー、戦争、家族
吉田伸八
編集委員|警察庁担当
専門・関心分野
警察行政、事件、犯罪