首相主導「看板方式」の限界 戦略空回り、でも責任は?

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編集委員・伊藤裕香子

 「アベノミクス」を7年掲げても経済の生産性は上がらず、少子化対策を打っても出生率は下がり、地方創生の時代に人口はむしろ首都圏に集中する。安倍政権は、こうした専門家の検証結果をやり過ごし、「次なる成長戦略」「新たな社会像」の名目で、また違う看板を探す。首相主導の「看板方式」は、コロナ禍でも変わらないのか。

 首相官邸向かいにある内閣官房の建物には、いくつかの部屋の入り口に、筆文字で書かれた木の看板が掲げられている。

 「まち・ひと・しごと」の創生本部、「働き方改革実現」「一億総活躍」「人生100年時代構想」の各推進室、「日本経済再生」の総合事務局などがある。

 いずれも、政権が次々に繰り出す看板政策を支える、政府の組織だ。

内閣官房幹部「トリクルダウンも回っていない」

 安倍政権の成長戦略は、生産…

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この記事を書いた人
伊藤裕香子
論説副主幹
専門・関心分野
税財政、くらしと消費、地方経済