国債激増を支える日銀 コロナが脅かす政府からの独立
編集委員・原真人
日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は、日銀が大量の国債の購入を続けている今の金融政策が、正当なものだとかねて主張している。日銀がどれだけ国債を買い増したとしても、それは金融政策のためにやっているのであって「政府のためではない」。だから「財政ファイナンスではない」という説明だ。
「財政ファイナンス」とは、政府予算の財源を税金に頼るのではなく、中央銀行に紙幣(日本では日銀券)を刷ってもらってまかなうことだ。つまり、中央銀行が政府にとって「打ち出の小づち」のような存在になるということだ。
こんな都合のいいことをやっていたら、最後には通貨の価値が暴落し、急激な物価上昇(インフレ)を招き、人々の生活が打撃を受ける、というのが各国が歴史から学んだ教訓だ。だから先進国では財政ファイナンスはタブー視され、日本では財政法がこれを禁じている。
ところが日本の現状は事実上、財政法に抵触しかねない状態となっている。2019年末時点で日銀が保有する国債は485兆円。政府の国債発行残高の実に47%を占める。
さらにこの春からは、新型コ…