第6回「一点突破で食い下がる、父らしい」記録みた真紀子氏は

有料記事角栄と「四島」

聞き手=編集委員・藤田直央 デザイン・田中和
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 日ソ国交回復以来17年ぶりとなる1973年の田中角栄首相訪ソに、当時29歳の長女真紀子氏が同行していた。朝日新聞が入手した極秘会談録を読んでもらった上で、ともに泊まったクレムリン宮殿での父の様子や、2001年に外相になってこの会談の成果にこだわった思いなどを聞いた。

連載初回)「四島」ソ連に迫った田中角栄 首脳会談の極秘議事録

冷戦下の1973年、田中角栄首相は、首脳会談で北方領土をめぐり火花を散らした。「四島」へのこだわりを伝える極秘会談録を元に、全8回の連載で当時を振り返り、今日への教訓を探る。今回は6回目。

 ――田中首相とブレジネフ書記長の会談に同席はされていませんが、会談録をご覧になった感想は。

 本当に父らしいと思ったのは、例えば画竜点睛(がりょうてんせい)の故事を引くところですね。「領土問題は竜の目だ」と迫り、コスイギン首相が「二つの目(二島)を入れた」と言うと「四つの目(四島)を入れたい」と切り返す。回転の速さが怖いぐらいです。

写真・図版

 コスイギン首相が割り込んでくるやり取りを読んで、3日間続いた会談の合間の父の様子を思い出しました。クレムリンの長い廊下を部屋へ戻ってきて、「コスイギンは切れ者だ。数字も経緯も正確に知っている」と言うので、私は「じゃあソ連はコスイギン一人でいいじゃない」と言うと、父は「違う」と。

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