自由にタブー話せる空間 きたやまおさむのウェビナー論

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吉田美智子
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 精神科医で、元ザ・フォーク・クルセダーズのきたやまおさむさんは、オンライン会議システムの「Zoom(ズーム)ウェビナー」を使って、無料の公開講座を始めています。新型コロナウイルスの感染拡大でオンラインでのやりとりが広がる中、この講座を、どのような場としてとらえているのか、聞いてみました。

オンラインで150人が参加

 初回の3月は、日本の言葉や文化、歴史から学ぶ「心」について話し、専門家や一般の人たち約150人が参加。子育て中の主婦や重度の身体障害がある人、引きこもり傾向のある人もいました。ウェビナーには質疑応答という双方向の機能がある。新型コロナウイルスの重症化リスクが高い人でも、平等に議論に加わる機会を与えられるのはすばらしい。

 僕の信条としては、患者さんとは守秘義務があるから、決してカウンセリングの話はしない。あくまで、みんなが共有できる文化的素材を使う。古事記や夕鶴など神話や昔話で繰り返し語られる物語から、自身の臨床の経験も交えて、多くの日本人に共通する深層心理を浮かび上がらせる。当然のことながら、文化的素材は僕が特権的に使える素材ではなく、僕の解釈は違うんじゃないかという意見も出てくる。例えば、日本の家庭における父性と母性の影響力について。公開講座では、専門家には思いつかないような鋭い質問も出て、スリリングでした。

6月の講座は「愛」をテーマに

 精神分析学の研究や臨床と芸能の「二足のわらじ」を履いてきた僕にとっては、ひと昔前のラジオの深夜番組を作って、出演しているような感覚です。昔のラジオは大人たちが寝静まった後、若い人たちが聴いていて、意見を交換して、もう一つの広場のようだった。辻説法、壁新聞みたいな形でね。

 僕の研究対象は性や死、病気…

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