検察庁法改正案、今国会成立は見送りも 政府内で浮上

検察庁法改正案

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 検察庁法改正案について、政府内で今国会での成立を見送る案が浮上していることが18日わかった。「役職定年」の年齢に達しても検察幹部のポストにとどまれる特例の新設に対し、世論の強い反発が続いている。政府は与党とも協議のうえ、最終判断する考えだ。

 政府高官は18日朝、「今国会で成立しなくても困るものではない」と語った。自民党関係者も「検察庁OBの反発で官邸内の風向きが変わった」と話した。

 安倍晋三首相は、新型コロナウイルス対応で必要となった2次補正予算案を27日をめどにとりまとめる指示をしており、予算案の国会審議への影響も考慮しているとみられる。ただ、政権内には「今国会で当然、成立させる」(幹部)との意見も残っている。

 菅義偉官房長官は18日午前の記者会見で問われ、法案審議の日程は国会で決めることとした上で、「さまざまな意見があるものと承知しており、今後引き続き、法務省において適切に対応、説明していくと承知している」と話した。

 国会では、野党側が15日、審議を担当する武田良太国家公務員制度担当相の不信任決議案を提出。衆院内閣委員会での採決が与党の想定よりずれこみ、18日以降の与野党の攻防が注目されていた。

 改正案は現在63歳の検察官の定年(検事総長は65歳)を段階的に65歳に引き上げることと、役職定年の導入が主な柱だ。役職定年に、検事総長や次長検事、検事長は内閣が、検事正は法相が必要と判断すれば最長3年とどまれる特例が盛り込まれており、政権が都合の良い幹部だけをポストにとどめる恣意(しい)的な運用ができる余地があるとの指摘があった。ツイッター上で俳優や歌手ら著名人からも「#検察庁法改正案に抗議します」という投稿が相次いだほか、元検事総長を含む検察OBからも反対する意見書が15日に法務省に出されている。

 改正案は、一般の国家公務員の定年年齢を60歳から65歳に段階的に引き上げる改正案などとまとめて国会提出・審議されており、先送りの場合はすべて、次期国会以降となる公算が大きい。

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