「リモートは万能じゃない」人影なき職場で仲間を思う

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古屋聡一
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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が出た翌日の4月8日。東京・赤羽橋でシステム開発などを手がけるITベンチャー、「Asian Bridge(アジアンブリッジ)」では、ふだんは40人ほどの社員が働いているオフィスに人影はなかった。

 「先週からリモートワークを導入して、在宅勤務が原則です」と社長の小西広恭(ひろのり)さん(40)。

 オフィスの奥に行くと、入社3年目の武田真さん(25)がパソコン作業をしていた。出社が必要な業務があるという。広いオフィスで、出社していたのは2人だけだった。

 この日、小西さんはシステム導入を検討している取引先との打ち合わせを予定していた。「主力のシステム開発は、順調に推移しています。新型コロナの影響でITインフラを使った課題解決の重要性が広く認識されたことも背景にあると思います」

 「リモートでふだんと変わらない仕事ができていますか」と質問すると、「確かに便利です。でも、万能ではないですね」という答えが返ってきた。

 どういうことか――。

 例えば、10人での会議。会議室であれば、それぞれの表情の動きが手に取るようにわかる。何か言いたそうだったり、逆に意見を聞いて欲しくなさそうだったり……。隣の人と小声で話している「私語」が、課題解決の突破口になることもある。

 しかし、テレビ会議システムでは、そこまでのコミュニケーションはできない。社内会議でも、取引先との交渉でも、人と人が直接、話すことで得られることの大きさについて考えさせられた、という。

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 「カイシャは仲間と一緒に仕…

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