マスクで熱中症、本当になる? まさかの予防メリットも
今年の夏は、新型コロナウイルスの感染を広げないため、炎天下でもマスクをつけねばならなそうだ。5月というのに夏日が続く中、すでにマスクをつけていると顔周辺がもわっと暑く、息苦しい。私たちは「経験のない夏」を迎えることになるが、果たしてマスクのせいで熱中症になるのだろうか。
全人類が経験のない夏
中国では、医療用の高性能マスクをしたまま走っていた中学生が急死した。ネット上では早くも、「冷感」「UVカット」をうたうさまざまな夏用マスクが販売されている。
熱中症に詳しい帝京大医学部付属病院の三宅康史・高度救命救急センター長は「夏場に大勢の人がマスクをつけて過ごすという事態は、全人類の経験上ないこと」と話す。
人間は通常、体温より低い冷たい空気を吸いこみ、鼻の中や肺の中で温められた息を出す。体から熱を奪いながら温かい空気が出ることで、体が冷やされるという仕組みだ。
それがマスクをつけていると、より温かい空気を吸い込み、吐いた息もマスクでブロックされてしまう。つまり、体がより熱を持ちやすくなってしまうという。
また、マスクをつけていることで呼吸に負担がかかるため、肋間(ろっかん)筋や横隔膜を必要以上に働かせることになる。運動しているのと同じ状態となるため体温が上がり、これも熱中症のリスクとなる。
マスクが熱中症予防にメリット?
だが「マスクをつけていることが、熱中症予防に有利に働くかもしれない面もある」と三宅さんは話す。
マスクをつけていることにより、息を吸ったり吐いたりするときに湿度が保たれるため、呼吸により失われる水分を抑えられる、というのだ。
「マスクをつけることのプラス面とマイナス面を相殺し、熱中症のリスクが上がるかどうか、ということだと思います」
夏向けマスクとして、通気性…
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- 岡崎明子(おかざき・あきこ)朝日新聞医療サイト「アピタル」編集長
- 科学医療部記者。広島支局をふり出しに、科学医療部で長く勤務。おもに医療、医学分野を担当し、生殖医療、がんなどを取材。特別報道部時代は、加計学園獣医学部新設問題の取材で日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞。オピニオン編集部デスクを経て、2020年4月からアピタル編集長。