コロナで「救急医療崩壊」 次のパンデミック「命の防波堤」守れるか

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後藤一也 足立菜摘 野口憲太

 新型コロナウイルスの流行が国内で始まり、5年を迎える。この間、政府は感染拡大を防ぐために3回の緊急事態宣言と2回のまん延防止等重点措置を出したが、その大きな理由は医療の逼迫(ひっぱく)だ。医療の逼迫はなぜ防げないのか。この問題は今も解決できていない。

 コロナのデルタ株が流行していた2021年夏。東京都内では、どの病院の集中治療室(ICU)も逼迫し、コロナではない患者の救急搬送先すら見つからなくなっていた。

 「都内の救命救急センターへの要請を3巡しましたけど、すべて断られました」

 東京医科歯科大病院(現・東京科学大病院)では救急隊からの電話が鳴りっぱなしだった。

 「今そっちの電話はどういう状況?」「こっち優先します」。救急隊に「患者の状態が危なくなったらもう一回電話ください」と言うこともあった。

 当時、救命救急センター長だった大友康裕さんは「都内の救急医療が崩壊した」と思った。

医療の限界、都内では200人が自宅死

 同病院では8月下旬、重症用ベッドを8床から12床、中等症用ベッドを25床から49床に拡充していた。「集中治療に慣れているうちの病院がコロナ重症患者をもっと受け入れられないか」と大友さんは考えた。100人以上の重症者を診る予定で準備していた人工呼吸器は余っていた。

 だが、大幅に急拡大させるの…

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