トヨタ衝撃「8割減益」 危機再び 予想あえて公表

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千葉卓郎 近藤郷平 石塚大樹
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 トヨタ自動車が再び試練に直面している。世界的な需要低迷で、今年度(2021年3月期)の営業利益が前年より8割減の5千億円になりそうだと公表。グループの世界販売台数も1千万台の大台を8年ぶりに割る見込みで急ブレーキがかかり、豊田章男社長は「リーマン・ショック以上のインパクト」と危機感をにじませる。主要企業の多くが、収束が見通せないとして業績予想の公表を見送るなか、あえて公表に踏み切った理由とは。

 トヨタが12日発表した21年3月期決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前年比79.5%減の5千億円になると予想。グループの世界販売台数の見通しは前年(1045万台)より約15%減って890万台となる。営業利益が1兆円を下回れば東日本大震災直後の12年3月期(3556億円)以来、9年ぶり。売上高は前年より約20%減って24兆円を見込む。世界販売台数の減り幅はリーマン・ショック当時より大きい。豊田社長はネットで会見し、「コロナ・ショックは(赤字に転落した)リーマン・ショックよりもインパクトははるかに大きい」と危機感を示した。

 同時に発表した今年3月末までの決算(20年3月期、米国会計基準)は、売上高が29兆9299億円(従来予想29兆5千億円)、営業利益は2兆4428億円(同2兆5千億円)でほぼ前年並みと堅調だった。グループの世界販売台数で首位(20年3月期)となったものの、年明けに新型コロナで様相は一変したことがわかる。

赤字は回避

 衝撃ともいえる「営業益8割減予想」により、売上高が日本企業として初めて30兆円を超えるなど過去最高を更新してきたここ数年の好業績が急落する。しかし、豊田社長は「これまで企業体質を強化してきた成果といえる」と、黒字確保の予想であることをむしろ強調した。

 08年9月に起きたリーマン・ショック時は1年間で、グループの販売台数は11.7%減少。09年3月期決算は営業損益が4610億円の赤字に転落した。当時、「拡大路線」の戦略をとっていたトヨタは生産設備を拡張し、固定費が大きく膨らんでいた。そこにリーマン・ショックの全世界的な需要急減が直撃した。

 一方、今回の業績予想では…

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