新型コロナウイルス対策として政府が国民に一律10万円を支給する「特別定額給付金」のオンライン申請。5月1日から順次始まり、8割ほどの自治体ですでに始まっている。ただ、申請にはパソコンのカードリーダーやスマートフォンのアプリなどを用意する必要があり、ハードルが高くなっている。

 10万円給付の申請方法は郵送とオンラインの二通りある。オンライン申請にはまず、マイナンバーカードが必要で、各世帯に配布されている個人番号付きの「マイナンバー通知カード」は使えない。さらに、カード作成時に設定した暗証番号(英数字6~16桁)が必要。この番号を申請時に5回間違うと、ロックされて手続きができなくなる。役所に多くの人が殺到しているのは、これらの問い合わせと見られる。

 大阪府吹田市でも11日朝からマイナンバーカードの暗証番号などの問い合わせ約100件を受け付けた。市はホームページで、感染拡大を防ぐため、給付金を受け取るためのマイナンバーカードの申請などは自粛してもらうよう呼びかけていた。しかし、この日も午前中に30人程度が待つ状態が続き、システムにもつながりにくくなったため、受け付けを午前11時で打ち切った。

 11日にオンライン申請が始まった大阪市の中央区役所。2年前に韓国から来日した留学生の女性(24)はスマホで申請を試みたが、うまくいかずに区役所に相談に訪れたという。区職員から「しばらく待ってもらうかもしれない」と説明を受け、「明日も来るけど、まただめかもしれないですね」と肩を落として立ち去った。

 総務省によると、マイナンバーカードの交付率は7日時点で16・4%にとどまるが、各自治体とも郵送申請に先立って、オンライン申請から始めている。マイナンバーカードの発行手続きには約1カ月かかり、今からでは間に合わないという。(小林太一、波多野大介)