iPSの網膜「順調」 世界初移植から5年、女性の患者

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後藤一也
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 2014年に世界で初めてiPS細胞からつくった細胞を移植する手術を執刀した神戸アイセンター病院の栗本康夫院長が朝日新聞の取材に応じ、手術した女性の術後5年の経過について明かした。移植した網膜の細胞はその場で一定の機能を果たしており、栗本院長は「順調に経過している」と話した。

 移植したのは根本的な治療法がない目の難病「加齢黄斑変性」の患者で、現在は80代。この病気は、光を感じる視細胞に栄養を送る網膜色素上皮細胞が傷む病気で、失明のおそれもある。症状の進行を抑える注射薬があるが、目に直接注射するために精神的な負担がある。

 理化学研究所などの研究チームは14年9月、iPS細胞からつくった細胞を患者に移植した。患者の皮膚の細胞からiPS細胞をつくり、網膜色素上皮細胞に変えて女性の右目に移植した。

 移植の際、ほかの細胞に変化しきれていない未分化のiPS細胞や目的外の細胞が混じると、がん化する危険性もある。臨床研究では安全性の確認を主な目的とした。栗本院長によると、移植後5年経っても、細胞はがん化せず、移植した細胞はその場にとどまっている。

 また、効果についても調べている。

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 移植するまでに治療薬を計1…

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