沖縄振興予算、県の頭越し 識者「国の政治的な意図」

有料記事

竹野内崇宏
[PR]

 沖縄振興を目的とする国の予算の中に昨春、新しい費目が作られた。沖縄県を通さず、市町村に直接交付されるのが特徴で、新年度も増額される。米軍普天間飛行場宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、県と国との対立が続くなか、識者は「政治的意図による県外し」と指摘する。

 沖縄自動車道を那覇市側から北上すると、巨大な建物が現れる。新年度中の完成をめざして沖縄市が建設中の「沖縄アリーナ」だ。1万人を収容でき、市はプロバスケットボールの試合や音楽イベント開催を見越す。総事業費は170億円。今年度の工事費96億円のうち22億円分が「特定事業推進費」だ。

新年度予算は8割増

 特定事業推進費は今年度、国の「沖縄振興予算」の一部として設けられ、当初額で計30億円が計上された。新年度の当初予算にも8割増の55億円が計上された。

 沖縄振興予算は、県や市町村による使い道の自由度が高い「一括交付金」と、使い道が縛られるそれ以外に大きく分かれる。一括交付金は、県が市町村の使い道を取りまとめ、内閣府などに申請して県が分配する。

■■沖縄振興予算■■ 太平洋戦争で激しい地上戦が展開された歴史的経緯や、本土から遠い地理的条件などを考慮して設けられた仕組み。他の都道府県の場合、県や市町村への国庫支出金と道路整備など国の直轄事業費は、国の予算の中に別々に計上されるが、沖縄では内閣府がまとめて計上する。一方、使途は従来、道路や橋といったインフラ整備に限られる「ひも付き」だったため、沖縄の裁量で教育や福祉などにも使えるように一括交付金が12年度、設けられた。

ここから続き

 一方、特定事業推進費は市町…

この記事は有料記事です。残り1054文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら