食感楽しい切り干し大根 ふっくら卵焼きに包まれて

ごはんラボ

山本奈朱香
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ごはんラボ 切り干し大根の卵焼き

 フライパンの中でジュワジュワと膨れあがる卵の上にのせたのは、トウバンジャンで味をつけた切り干し大根の炒め物。台湾ではポピュラーな切り干し大根の卵焼きを作ります。

 大根のうまみと栄養をギュッと閉じ込めた切り干し大根は、乾物の代表選手のような存在。水で短時間戻しただけでサラダのように食べられて、煮物や炒め物にも大活躍。水につけすぎると歯ごたえがなくなるので、戻ったらすぐに水を絞るのがおいしく食べるコツです。

 今回の卵焼きは、シャキシャキした切り干し大根の歯ごたえが魅力ですが、お子さんなど、かみきれるか心配な場合は、細かく切ってから炒めても。オムレツのように折りたたんで仕上げます。

 そして乾物の良さは、うまみが溶け出した戻し汁にもあります。吉田勝彦シェフから「あんかけにしましょう」と提案された時には驚きましたが、甘みを生かしたとろみ、たしかに相性抜群です。(山本奈朱香)

切り干し大根の卵焼き 監修・吉田勝彦

【材料(作りやすい分量)】

〈切り干し大根の炒めもの〉

□ 切り干し大根 30g

□ サラダ油 大さじ1

□ 日本酒 小さじ1

□ しょうゆ 小さじ2

□ トウバンジャン 小さじ1/4

〈卵焼き〉

□ 卵 3個

□ 小ネギ 2本

□ 日本酒 小さじ1

□ 塩 小さじ1/3

□ 白コショウ 少々

□ サラダ油 大さじ3

【作り方】

①ポリ袋に切り干し大根と水300mlを入れ、10分ほど置く。

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②切り干し大根の水気を絞ってから、長さ2cmに切る。戻し汁は、アレンジのあんかけにする時はとっておく。

 

③フライパンにサラダ油を入れて弱火にし、切り干し大根を炒める。油がなじんだら日本酒、しょうゆ、トウバンジャンを加えてさらに炒める。

全体が混ざったら切り干し大根の炒め物が完成。卵焼きには半量を使う。残りは冷蔵庫で2~3日保存できる。

④ボウルに卵、小口切りにした小ネギ、日本酒、塩、白コショウを入れてよく混ぜておく。フライパンにサラダ油を入れて強火にし、油の温度を上げてから卵液を入れる。多めの油で卵がふわりと立ち上がる。切り干し大根を真ん中にのせたら中火に。表面にたまった卵液は、まんべんなく全体に広げる。半分に折り、反対側も焼いたら出来上がり。

【動画】切り干し大根の卵焼き=合田昌弘撮影

【アレンジ】切り干し大根のあんかけ卵焼き

 卵焼きを焼いた後のフライパンに戻し汁100ml、塩少々、日本酒小さじ1、白コショウ少々を入れて弱火に。シメジ30gを加え、軟らかくなったら水小さじ1強で溶いた片栗粉小さじ1/2強を入れて煮立たせ、とろみがついたら火を止める。ゴマ油小さじ1/2を入れて混ぜ、卵焼きにかける。

乾物 担い手不足が課題

 野菜や海藻を干したり寒風にさらしたりして水分を抜いた乾物には、切り干し大根や干しシイタケなどの「里の乾物」と、ワカメやひじきなどの「海の乾物」があります。

 1913年創業の乾物問屋「萬藤(まんとう)」(東京)の蔀(しとみ)浩之社長によると、日本のように寒すぎず暑すぎない温帯の気候が適し、江戸時代の料理本にも登場。軽くて保存が利く乾物は重宝され、萬藤は第1次南極観測隊にも乾物を納めました。最近は健康面から関心を持つ外国人客も店を訪れるそうです。ただ、農家の高齢化や担い手の減少のため、作られなくなってしまうものもあり、継承が大きな課題です。

写真・図版

Cookery Science 切り干し大根の戻し汁が甘いのは

 大根にはフルクトース(果糖)、グルコース(ブドウ糖)、スクロース(ショ糖)が含まれ、乾燥により濃縮される。切り干し大根を水で戻すと30分後にはこれらの糖分の半分強が溶出する。この戻し汁を捨てずに煮物などに使うと、切り干し大根の風味と糖分を生かせる。(調理科学監修:香西みどり・お茶の水女子大学教授)

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