「データ復元不可」のシンクライアント方式 桜を見る会

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 菅義偉官房長官は2日午前の記者会見で、国の税金を使って首相が主催する「桜を見る会」をめぐり、招待者名簿の電子データの復元は不可能などと改めて説明した。主なやりとりは次の通り。

 ――マルチ商法が問題視されるジャパンライフの元会長が、2015年に政府から招待状を受け、顧客獲得に利用していたとの証言が被害者から相次いでいる。

 「桜を見る会の個々の招待者やその推薦元については、個人に関する情報であるため、招待されたかどうかも含めて従来回答を差し控えている。桜を見る会は長年の慣行の中で行われてきたものだが、招待者の基準があいまいであるなどのご批判をいただいており、これまでの運用を大いに反省し、招待基準の明確化や招待プロセスの透明化を検討するとともに、予算や招待人数も含めて、全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行っていきたい」

 ――ジャパンライフは顧客獲得のために、桜を見る会の招待状と、(首相や官房長官らの)招待区分とみられる「60番」の書かれた受付票、首相の顔写真をあしらった勧誘資料を作成していた。長官はこの資料を見たか。

 「ご指摘の番号は招待状の発送を効率的に行うために便宜的に付しているものであり、会議の終了をもって使用目的を終えることから、内閣府においてこれらの情報は保有していないと承知している」

 ――その資料ではなく、ジャパンライフが顧客獲得のために利用していたとされる資料だ。見たことはあるか。

 「具体的なことについては承知していない」

 ――報道各社の世論調査でも政府の説明に納得できないとの見方が大半を占める。政府として来年の中止は決めたが、安倍政権の下ではもう今後開催しないとの選択肢はないのか。

 「基準があいまいであるとか、不透明だとか、予算の問題、人数の問題など色々指摘されているので、幅広い方からお話をうかがって対応していきたい」

 ――招待者名簿については、電子データも削除して復元できないとの説明だが、サーバーを破壊するなど物理的に復元できない措置を取っているのか。

 「内閣府が採用しているシステムは、サーバーデータを集中管理する『シンクライアント方式』であり、(個々の)端末にデータは保存されていない。運用事業者によれば、サーバーのデータを破棄後、バックアップデータの保存期間を終えた後は、復元は不可能であるという報告を内閣府の事務方から聞いている」

 ――そうなると、もうサーバー内にも電子データは残されていないのか。

 「今、私が申し上げたとおりだ」

 ――サーバーデータのバックアップ保存期間は、省庁によってもシステムによっても違うと思うが、内閣府の場合はどのくらいか。

 「私は承知していない。ただ、運用事業者によれば、サーバーのデータを破壊後、バックアップデータの保存期間を終えた後は、復元は不可能であるという報告を内閣府から受けている。詳細は事務方にお尋ねいただきたい」

 ――ジャパンライフについてはテレビ・新聞・ネットなどに報道が出ている。名簿を廃棄したから分からないではなく、首相に聞けば元会長を呼んだか呼んでいないかすぐ分かる。

 「承知していません」

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