500年続く因縁の対立、再燃の恐れ 北アイルランド

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大内悟史
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 英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)が10月末に迫る中、ジョンソン首相は2日、EU側に「最終提案」を示した。離脱期限の延長、メイ前首相の退陣など度重なる混乱を招いてきた最大の要因は、英領北アイルランドとアイルランドの国境問題だ。国際政治史研究者の松本佐保・名古屋市立大学教授に聞くと、双方がEU内にいたからこそ顕在化してこなかった数百年に及ぶ宗教対立、格差や差別の問題が、一気に再燃しかねないという。

 アイルランド島北部で、北アイルランドとEU加盟国アイルランドを隔てる陸続きの約500キロの国境は、一見すると何の変哲もないが、松本さんによれば「数百年単位の不満や矛盾の歴史が積み重なっている」。現在は同じEU内のためヒトやモノの出入りが自由で、国境を強く意識することはない。しかし、「合意なき離脱」になれば、国境は両国を分ける境界線となり、出入国管理や税関検査が必要になる。

 「自由な往来ができなくなれば、北アイルランドの帰属を巡る紛争が再燃しかねない」。どういうことなのか。背景には宗教対立とナショナリズムの歴史がある。

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 アイルランドは独立戦争を経…

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