一生のうち、ほぼ2人に1人がかかるといわれるがん。多くの人ががんを経験するなら、同じ人が異なる場所に複数のがんを抱えたとしても不思議ではありません。そんな「重複がん」は、実態がまだよくわかっていません。どう向き合えばいいのでしょうか。(編集委員・田村建二)
横浜市で婦人科診療所を運営していた産婦人科医の佐藤宏樹さんは、2013年10月に健診で胸部のX線検査を受けたのをきっかけに肺がんが見つかり、手術を受けた。
自身の父親と兄が大腸がんを経験していたこともあり、手術を受けた病院に大腸の内視鏡検査などもしてくれるよう頼んだ。だが結局、検査は行われなかったという。
17年になって、全身に倦怠(けんたい)感を覚えてCT検査をすると、肝臓にがんが見つかった。後に、がんは大腸からの転移だったとわかった。もう手術はできない段階で、抗がん剤も効果がなかった。
重複がんに関しては医師の間でもまだ意識が低く、「自分の担当するがんさえ治療すれば」という意識になりやすい。一般の人に向けての重複がんの情報もまだまだ少ない。佐藤さんはそう感じた。
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1カ所でもがんが見つかれば…
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