研究の魅力を社会に伝え、資金募る 研究費集めの新潮流

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(聞き手・嘉幡久敬)
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【科学力】~研究費集めの新潮流~

 少数の研究者や研究機関に研究費を集中させる「選択と集中」によって、多く研究者が研究費を取りづらくなっている。国の研究費の審査は「実績主義」に傾き、論文などの実績が少ない若手研究者には不利に働きやすい。

 そうした状況のなか、少額ですむ研究なら、国を頼らず一般から資金を集めようという新たな流れが始まりつつある。クラウドファンディングを利用した資金集めだ。研究者は専用のサイトで自分の研究プロジェクトをわかりやすく説明し、何にいくらの費用が必要かを示し、期間を設定して資金を募る。

 クラウドファンディングを利用する場合、研究の魅力をその道の専門家にではなく、一般社会に伝えるためのコミュニケーションの技量が不可欠だ。その技量を上げることは、研究者と社会のつながりを深めることにつながる。また、集まったお金も、国の研究費に比べて使い勝手がいいという特徴がある。

 こうしたクラウドファンディングの利用は、寄付文化が根付くアメリカで一足はやく始まった。世界最大のサイトの「エクスペリメント・ドット・コム」(https://experiment.com/別ウインドウで開きます)では2千近いプロジェクトが寄付を受けている。今年1月の英科学誌ネイチャーの特集によると、クラウドファンディングの利用者のほぼ3分の2は博士号を持たない学生や、博士研究員など非正規ポストにいる若者たち。寄付集めに成功する率も、ベテランの研究者より若手の方が高かったという。

 日本でも2014年、学術研究に特化したクラウドファンディングサイトが立ち上がった。「アカデミスト」(https://academist-cf.com/別ウインドウで開きます)だ。創業者でCEOの柴藤亮介さんに、研究費集めの活動や意義について聞いた。

集まった資金、1億円を突破

 ――クラウドファンディングサイト「アカデミスト」を始めたきっかけは何でしょうか?

 大学で原子核の理論物理学を…

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