わずかな元手で巨利 税逃れ横行、仮想通貨悪用にメス
花野雄太
仮想通貨(暗号資産)の取引をめぐり、全国で総額約100億円の申告漏れが指摘された。「ビットコイン」の誕生から10年。仮想通貨は新しい決済手段として脚光を浴びる一方、「投機」の対象としても注目を集めてきた。税逃れが横行する実態が浮かび上がり、資金洗浄(マネーロンダリング)への悪用も懸念されている。
関係者によると、仮想通貨の換金(売却)を代行していた都内の会社は、2018年5月までの1年間に約2億円の所得隠しを指摘された。同社は資金決済法で義務づけられた国への登録をせず、ブローカーやSNSなどから換金依頼を集約。換金額の数%の手数料を取っていた。
この会社の男性社長は、取材に「登録業者で普通に売買すると取引記録が残ってしまうので、手数料を払ってでも税金をごまかそうとした人が多かった」と語る。税務調査を機に仮想通貨ビジネスから手を引いたという。
仮想通貨は法定通貨と違い、国の経済や中央銀行の裏打ちがないためレートが安定しない。投機目的とみられる資金も流入するなかで、わずかな元手で巨利を得る人も続出。資産を1億円以上に増やした人は「億り人(おくりびと)」とも呼ばれる。
都内の会社経営者はビットコ…
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