田畑を荒らすオランウータン 開発に追われ人里に出没

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南タパヌリ=野上英文
【動画】新種オランウータンの森、開発に揺れる=野上英文撮影
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 インドネシア・スマトラ島北部タパヌリの森が開発と保護のはざまで揺れている。ジョコ大統領の旗振りで水力発電所建設が進められているが、そこは絶滅の恐れがある新種オランウータンのすみかでもある。(南タパヌリ=野上英文)

 南タパヌリのうっそうとした森を分け入ると、20メートルを超える樹上から低い鳴き声がした。「ウッ、ウゥ」。赤茶色の縮れ毛をした2頭の雌。推定で20歳以上と6~7歳の親子だ。枝をしならせて木々を悠々と渡り歩き、木の実を食べる。

 タパヌリオランウータンは2017年11月に新種と確認された。一帯には無許可の立ち入りや伐採を禁じる保護区域があり、タパヌリ種も18年から保護対象となっている。ただ「森はつながっており、保護区域外にも生息している」と、北スマトラ自然資源保全局シピロック事務所の自然保護官ナシル・シレガルさん(44)は説明する。

 記者が目撃したのも保護区域外。地元住民が耕す田畑から森の中を数百メートルほど入ったところだった。

 「うちのドリアン、今年はみんなオランウータンにとられた。12本全部」。農家のカディル・シレガルさん(52)は途方に暮れていた。1本300万ルピア(2万2千円)分の果実を生む貴重な収入源はオランウータンの好物でもある。ほかに野菜や米、カカオ、バナナ。数年前から畑の被害がひどくなった。

 異変のきっかけは近くの保護…

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