(京の隠れ里に住んで)山の神さまへ、復活した「龍」

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福野聡子
【動画】山とのつながりを示す久多の年初行事「綱打ち」と「山の神・お弓」=福野聡子撮影
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 京都市最北端にある左京区久多(くた)。市内中心部から車で約1時間、山々に囲まれた小さな集落です。昔から林業や炭焼きなどで山と一体の暮らしが営まれてきた土地。年初の行事にも、山とのつながりを示す行事が目立ちます。地区の一つ、久多下の町では、山での安全を祈願する「綱打ち」を昨年、久しぶりに復活。2年目の様子を見せてもらいました。

息を合わせて

 サラサラと、わらを手ですく音。「せーの」という掛け声――。1月5日、下の町の当番のお宅の作業小屋に男性8人が集まり、綱打ち作業を行いました。乾かしておいた稲わらの束を使い、力を合わせて太い綱を作ります。

 綱打ちは現在、久多5地区のうち、上の町と下の町で行われています。久多の多くの行事と同じように、担うのは男性です。

 特徴は、龍(りゅう)の形に綱を編み上げること。編み手の3人がそれぞれわら束を左にねじり、引っ張りながら息を合わせて編んでいきます。まず頭の部分を作り、わらを足しながら「尾」の方へ。途中、丸めたわらを挟んだ「たま」や、ねじって作る「結び」を交互に6カ所ずつ入れるのが、下の町の作り方です。天井の梁にかけて作るほどの長い綱。編み手3人のほかにも、追加のわらを渡す人などが必要で、人数が少ないと大変です。

 実際、下の町の綱打ちはいっ…

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