「神話的な物語群」 思想家・内田樹さん、SWを語る

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聞き手=矢吹孝文
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 スター・ウォーズをウォッチし続ける思想家の内田樹(たつる)さん(65)に聞いた。最新作への思いは?

     ◇

 第1作目の日本公開時、私は27歳。重厚な音楽、黄色い文字で流れる壮大なストーリー……。「いままでとは全然違うSF映画だ」と直感した。ルーカス監督が「黒澤明監督に影響を受けた」と言ったことも日本人観客の好感度を増した。

 それに、この映画が封切られた1978年は暗鬱(あんうつ)なベトナム戦争もようやく終わり、アメリカのカウンターカルチャーが黄金時代を迎えた時だった。ルーカスやスピルバーグの映画は、同時代のヒーローだったスティーブ・ジョブズと同じく、若者たちの創造性が大人たちの押し付ける息苦しい秩序をはねかえす運動の一つとして大きな期待のうちに登場したのである。

 シリーズの特徴は「神話的」であることだ。神話とは根源的な「二項対立」によって世界に秩序を与える物語のことである。戦争と平和、正義と邪悪、専制者と反乱者、父と子、師匠と弟子、仮面と素顔、生と死……。スターウォーズの物語はどれも断片的なエピソードのつなぎ合わせだ。

 だから観客はそれだけでは物…

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