夏目漱石「それから」(第五十四回)十の四

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 三千代の顔はこの前逢った時よりはむしろ蒼白(あおしろ)かった。代助に眼と顎(あご)で招かれて書斎の入口へ近寄った時、代助は三千代の息を喘(はず)ましていることに気が付いた。

 「どうかしましたか」と聞いた。

 三千代は何にも答えずに室(…

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