(社説)日本維新の会 政党の見識が問われる

社説

 また日本維新の会から、問題発言が飛び出した。

 こんどは今夏の参院選比例区に公認候補として立つ予定の元フジテレビアナウンサー長谷川豊氏が、被差別部落への差別をあからさまに助長した。

 本人は撤回、謝罪したが、差別意識むき出しの発言は断じて許されるものではない。

 長谷川氏は女性蔑視やセクハラ発言を繰り返してきた。人工透析の患者を「自業自得」と決めつけ、自身のブログに「全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!」と書いたことさえある。

 それでも、その後の衆院選で維新の千葉1区の公認候補になっていた。

 北方領土をめぐって、現地で「戦争しないとどうしようもなくないですか」と語った丸山穂高衆院議員も、維新の公募候補で国会に出てきた。

 所属メンバーから非常識な言動が相次ぐ現状を、維新はどう考えるのか。長谷川氏の公認の当面停止で済ませるつもりか。政党としての見識が問われる。

 事態が深刻なのは、維新の議員らの暴言が、いまに始まった話ではないからだ。

 一昨年には、足立康史衆院議員が加計学園問題の審議の際、他党の議員3人を名指しして、「犯罪者だと思っています」と述べた。根拠なき中傷だった。

 他党に対する「アホ」「ふざけるなよ、お前ら」といった発言などで、何度も懲罰動議を受けてきた人物である。このときも、維新の対応が問われた。

 現状を見れば、その後も党員らの言動が改善されていないと言うしかない。

 維新は、ことしも13億円余の政党交付金を受け取る。公党として、議員や関係者の規律をただす責任がある。

 一方で、政治家の不見識な振る舞いは他党にも共通する。

 とりわけ、五輪相と国土交通副大臣が続けて職を追われた自民党で続発している。

 3月には、準強制性交の疑いが報じられ、衆院議員を辞職した者まであらわれた。いわゆる「魔の3回生」のひとりだ。

 暴言の類いも次から次だ。同性カップルを「生産性がない」と評して、性的少数者を差別した女性衆院議員や、東日本大震災が「東北でよかった」と発言した復興相もいた。

 自民党は今月、国会議員らに「失言防止マニュアル」を配って注意を促した。そこまで議員の質が落ちているわけだ。

 改めて確認しておこう。

 すべての国会議員を選んでいるのは、私たち有権者である。劣化し続けている政治家の一挙一動に、あきれているだけでは事態は良くならない…

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません