パレスチナ情勢 4月19日~5月3日(日本時間)にあったこと

【動画】イランのイスラム革命防衛隊が公開した、イラン上空に閃光(せんこう)が走る映像=ロイター/アイプレス
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 パレスチナ自治区ガザでの戦闘休止と人質解放をめぐる交渉で、イスラエルの地元メディアによるとネタニヤフ首相は1日、ブリンケン米国務長官との会談で、「ガザでの戦争終結を受け入れるつもりはない」と伝えました。これに先立って条件面では譲歩したとされ、イスラム組織ハマスは2日にも提案に回答するとみられています。米国をはじめ国際社会が出方を注視しています。

 そんななか、南米コロンビアのペトロ大統領は1日、イスラエルとの国交を断絶すると表明しました。「ジェノサイド(集団殺害)を進める政府、リーダーが存在するからだ」と理由を述べています。

イスラエル・パレスチナ問題をめぐる動きを時系列でお伝えします。

■■■2024年5月3日(日本時間)の動き■■■

ラファ侵攻なら「死亡率は大幅に上がる」 WHOが懸念を表明

 パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり、世界保健機関(WHO)は3日、「(ガザ最南端の)ラファで大規模な軍事作戦が展開されれば、流血の惨事になりうる」と懸念を表明する声明をX(旧ツイッター)に投稿した。

 ラファには逃げ場を失った避難民ら約150万人が集中している。イスラエルとイスラム組織ハマスの間で戦闘休止と人質解放の交渉が進んでいるが、イスラエルのネタニヤフ首相はラファでの地上作戦の必要性を繰り返し主張している。

 WHOは、ラファでの軍事作戦で新たな避難民の波が起これば過密状態はさらに悪化し、食料や水、保健衛生サービスへのアクセスがより困難になると指摘。病気の流行や飢餓も進んで、死者が増えるとしている。

 医薬品や燃料、スタッフが不足するなか、現在、ガザの36の病院のうち、機能しているのは33%しかないという。WHOはこうした状況を改善するための緊急対応に努めているが、「軍事侵攻が起きれば、死亡率と病気の罹患(りかん)率は大幅に増加すると予測される」としている。

ICCが職員への脅迫をやめるよう呼びかけ、ガザめぐる捜査批判か

 国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の検察局は3日、公式X(旧ツイッター)に声明を投稿し、職員に対する脅迫行為をやめるよう呼びかけた。ICCは具体的な事例は挙げていないが、ロイター通信などは、イスラエルが攻撃を続けるパレスチナ自治区ガザをめぐる捜査についての批判を受けたものと伝えた。

 検察局は声明で、「ICCの職員を妨害したり、脅迫したり、不当に影響を与えようとする試みを直ちにやめるよう主張する」とした。ICCがガザでの戦闘をめぐり、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出す準備を進めているとの報道が相次ぎ、ネタニヤフ氏は4月30日、「歴史的暴挙だ」と反発する声明を発表。ジャンピエール米大統領報道官は「この(ガザの)状況にICCの管轄権があるとは考えていない。我々は捜査を支持しない」と述べていた。

ラファ侵攻「市民が虐殺されかねない」 OCHA報道官

 国連人道問題調整事務所(OCHA)の報道官は3日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ最南部のラファに侵攻すれば、「市民が虐殺されかねない」と述べ、何十万人もの住民の命が危険にさらされるとの見方を示した。

 イスラエルとイスラム組織ハマスの間の停戦交渉が続いているが、イスラエルのネタニヤフ首相は約150万人の避難民が身を寄せるラファへの侵攻に踏み切る考えを崩していない。OCHA報道官は、ラファ侵攻が起きれば「人道活動にも大きな打撃を与える」と述べた。

イスラエル、ハマスに拘束の人質1人の死亡を確認

 イスラエル政府は3日、イスラム組織ハマスの人質としてガザ地区で拘束されていたイスラエル人男性(49)の死亡を確認したと発表した。どのように男性の死を把握したかは、明らかにしていない。男性の遺体は返還されていないという。

 AFP通信などによると、男性はイスラエル南部のキブツ(集団農場)ベエリに住んでいたが、昨年10月7日のハマスの急襲で、2人の子どもとともに拉致された。男性の妻は襲撃で死亡した。2人の子どもは、人質交換の一環で昨年11月に解放された。イスラエル政府は3日、X(旧ツイッター)に「男性の2人の子どもは、兄とともに孤児となっている」などと投稿した。

ハマストップ、イスラエルの停戦案を「前向きに検討」 交渉は予断許さず

 パレスチナ自治区ガザでの戦闘休止と人質解放をめぐる交渉で、ハマスの最高指導者ハニヤ政治局長は、イスラエルがエジプトなどの仲介のもとでハマスに示した停戦案について「前向きに検討している」とした上で、交渉を完了させるために「できるだけ早期に」代表団をエジプトに派遣するとの考えを示した。ハマスが2日に声明を発表して明らかにした。

 声明によると、ハニヤ氏はエジプト総合情報庁のカメル長官と電話で会談。仲介国としてのエジプトの役割を評価した上で、停戦案に対して前向きな姿勢を示した。その上で、「現在進行中の協議を完了させるため」に、ハマスの代表団がエジプトを訪問することを確認したという。

 一方、米紙ニューヨーク・タイムズNYT)は1日、ハマスの報道官がレバノンメディアのインタビューで、停戦案に対して「否定的」との立場を示したと報じている。イスラエルのネタニヤフ首相もガザ最南部ラファへの侵攻に踏み切る考えを崩しておらず、交渉の進展は予断を許さない状況だ。

■トルコ、イスラエルとの貿易…

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