葉加瀬太郎さん育んだ「ルーツレス」なまち 団地で奏でたバイオリン

有料記事ニュータウンのいま

聞き手・滝坪潤一
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 「情熱大陸」「エトピリカ」を作曲したバイオリニストの葉加瀬太郎さん(56)。4歳から16歳までを大阪府吹田市豊中市にまたがる千里ニュータウンの団地で過ごした。音楽家の道を志していた、子どものころの千里での思い出などを語ってもらった。(聞き手・滝坪潤一)

 北大阪急行(北急)が箕面まで延伸? 時代は変わったなあ。「箕面といえばサル」って思っていたのが、いつの間にか高級住宅街のイメージに。(北急の駅の)緑地公園の辺りも竹やぶしかなかったのが、今はマンションだらけですもんね。ザリガニが釣れるポイントがたくさんあった。子どものころ、よく行っていました。

 音楽家としての原風景は、団地の部屋ですね。

 ダイニングキッチンと6畳間をぶち抜いて、リビングにして使っていました。小学生のころは、1週間全部が習い事で埋まっていて、4歳で始めたバイオリンもその一つ。10歳のころ、僕よりうまく弾く同じクラスの女の子に出会った。初恋の子になるんですけど。バイオリン一本に絞った僕は、鏡の前でずっと練習していた。

葉加瀬さんは、「属さない」ことを大切にしていると言います。そのアイデンティティーを育んだ千里のまちをクラシックにたとえると、一夜限りのワルツだそうです。その真意とは。記事の最後には、気さくさがあふれるインタビュー動画があります。

 元美容師の母親は、同級生の保護者や学校の先生を客として家に招いて、台所の湯沸かし器でシャンプーなんかしちゃってる。「太郎、何か弾け」って言われて、リクエストを受けて弾いてたな。

 学校以外は、バイオリンと睡眠しかなかった。朝は30分~1時間弾いてから学校に行く。学校が終わるとダッシュで帰ってきて3時間練習。晩ご飯はその後でした。

 練習が楽しいってわけじゃな…

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