「8がけ社会」とどう向き合う 主役世代と語り合って見えてきたこと

有料記事フォーラム

進行・構成 中山直樹 奈良部健
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 社会を支える現役世代が今の8割になる「8がけ社会」が2040年にやってきます。介護や建設など、生活を支える様々な業種で既に生じている人手不足は、今後さらに深刻化します。そんな社会をどう乗り越えていくか。まずは若い世代の声を聞きました。

8がけ社会とは

 日本の高齢化率が35%に迫る2040年、働き手の中心となる現役世代(15~64歳)は、現在の約2割にあたる1200万人も減ると推計されています。高齢者世代はさらに増え、社会を支えるサービスの必要量は増えるのに、その支え手は減っていきます。

 社会のあらゆる分野で、これまで通りのやり方が通用しなくなる。そんな「8がけ社会」の到来について、朝日新聞は24年1月から紙面とデジタルで連載し、現状を見つめ直して、その解決策を探りました。

ずっと言われてきた問題

 連載「8がけ社会」では、未来を語る若い世代のコミュニティー「朝日新聞DIALOG」学生部メンバーと議論を重ね、取材の進め方や企画作りに生かしました。議論に参加した学生と取材した記者が、改めて「8がけ社会との向き合い方」を語り合いました。

 ――現役世代が2割減る「8がけ社会」という問題設定について、どう思いましたか。

 中西 東京にいると、普段の暮らしで人手不足を実感する瞬間はありません。店にも従業員はいるし、交通手段も不便はない。身近な問題として捉えづらいです。

 宗像 最初は、かなりネガティブな見方だと感じました。人手不足や少子高齢化の問題は、小学生の頃から「あなたたちの世代が支えなきゃいけない」と言われ続けてきた。当時からずっと同じ話をしているような気がします。

 佐野 私は、連載に少し期待しました。今までも解決策が全然見えないまま、「問題だよね」だけで終わっていたから。解決策を見つけていきたいという連載は、いいなと思いました。

社会問題をビジネスで解決する視点

 ――8がけ社会は、みなさんの生活にも影響が出そうです。まもなく働き手になる立場として、どうすべきだと考えますか?

 田中 働くことは人生で大きな割合を占めるし、自分の存在意義にもつながる。だからこそ、8がけ社会でも、自分にしかできないことを楽しんでやる、という考えを忘れてはいけないと感じます。

 宗像 私は逆に、自分にしかできない仕事はそんなにない、と思っています。自分の代わりがいると思えれば、働き手も気楽になれるし、社会が流動的になることは8がけ社会にも有効だと思う。

 佐野 以前からソーシャルビジネスに関心があり、社会問題をビジネスで解決する視点が大事だと考えています。少子高齢化対策は、国や行政に任せてもうまくいかない。でも、ビジネスの枠組みで考え、解決策の提示が利益にもつながるなら、社会は動くかもしれない。実際にそうした考えが連載でも取り上げられ、自分の意見が反映された喜びを感じました。

 北村 企画作りの議論でも、雇用側と働き手をマッチングさせるアプリを使った単発バイトの話になりましたね。友人でやっている人もいますが、留学の準備や就活などで忙しい時でも自由に働き方を選べるところがいい。こうした仕組みをうまく使えば、人手不足解消につながるかもしれません。

おじさんの壁 悲しくなった

 ――発想の転換や、参加する人が楽しめる仕掛け作りが突破口になるのでは、と連載でも提示しましたが、どう読みましたか?

 中西 連載の冒頭に作家の多…

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