今年80歳で亡くなった政治学者の五百旗頭真・神戸大学名誉教授は、宮沢喜一元首相(1919~2007)との交流について、昨年10月に朝日新聞のインタビューに語っていた。宮沢氏の政治行動記録(日録)に出てくる今世紀初めの会合で、中国が日本の脅威となるかどうかや、日米同盟でどう臨むかなどについて、「学者同士の友人のように」語り合った場面などを回顧。宮沢氏の世界観や人柄の一面を明かしていた。

拡大する写真・図版インタビューに答える五百旗頭真・神戸大学名誉教授=2023年10月、東京・築地の朝日新聞東京本社

 ――宮沢さんとのやり取りはいつごろからですか。

 宮沢内閣の頃(1991~93年)、私は神戸大学教授で、牛尾治朗さん(当時ウシオ電機会長。経済同友会代表幹事などを務め昨年死去)の政策提言勉強会に参加していました。首相官邸からも河野洋平官房長官やスタッフが来ていて、宮沢内閣の外交政策について私に「提言を」とたびたび言われていました。

 「忙しいし、学者がうれしそうに書いても総理は読まないでしょう」といけずを言ったら、スタッフは「宮沢総理は机の上に置いた活字は全部読まれます」と。そんな総理はそれまで大平正芳さんぐらいじゃないか。竹下登さんはぱらぱら、中曽根康弘さんは半分ぐらい。それなら、と書くようになりました。

 (93年7月に来日する)クリ…

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