「えっアレが?」 クマムシ級にものすごく耐えるヤツは足元にいた

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野中良祐
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「植物界のクマムシ」とは何者?

 ものすごい高温や低温、宇宙空間のような真空、強い放射線にも耐えられる最強の生物なーんだ?

 理科好きの人なら難なく答えられるだろう。それはクマムシであると。

 正解です。では、もう1つ挙げてと言われたら? こちらは超難問かも。

 実はクマムシと双璧を成す「最強生物」がいるのです。自宅の庭や街の片隅といった、みなさんの足元に。

 それを研究しているのは、龍谷大講師の玉井鉄宗(てっしゅう)さん(植物栄養学)。玉井さんの研究室に配属される学生も、はじめは存在を認識すらしていない。だが、研究を進めると、「アレはすごい生物だ」と驚くという。

 「『植物界のクマムシ』と言っても過言ではないでしょう。正確には植物ではありませんが」

 玉井さんがこう表現するのは、植物のように光合成をする細菌シアノバクテリア(ラン藻)の一種「イシクラゲ」だ。

 名前にピンとこなくても、多くの人が目にしたことがあるはずだ。植栽のある庭だけでなく、ビルや校舎の片隅の地面に生えている海藻のような見た目をしたアレだ。晴れている日はパリパリに干からび、雨になるとぶよぶよになって足を滑らせそうになる。

 塊は一つの個体ではなく、無数の細胞が集まって形づくられている。見た目は似ているが、キノコであるキクラゲとは類縁ではない。

 イシクラゲはパリパリになった状態でも、休眠状態として生きている。87年前の標本に水を与えると生きていたという報告がある。玉井さんは「1人の人間では追跡できませんが、おそらく何百年でも生きるでしょう」。

 パリパリだと、100度を超える高温やマイナス100度以下の低温、たいていの生物が死ぬ強い紫外線や放射線にも耐える。

 玉井さんはそんなイシクラゲに魅了され、生態を解き明かして、ひいては人類の役に立てられないかと考えている。

■すごいのは耐性の強さだけで…

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