羽生結弦さんの魅力とは何か 記者が教わった「生きるためのヒント」

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 フィギュアスケート男子で五輪2連覇を果たした羽生結弦さんは、昨年7月にプロ転向を表明した後も、東京ドームで単独ショーを成功させるなど大きな注目を集め続けています。

 28歳のアスリートの魅力とは――。

 2012年の世界選手権でペア銅メダルに輝いた高橋成美さんをゲストにお招きし、記者として羽生さんを長年追ってきた後藤太輔・スポーツ部デスク、フォトグラファーとして軌跡を記録してきた角野貴之記者と3人で、羽生さんの魅力を語り合うオンラインイベントを開催しました。

 その名も、「羽生結弦の目撃者たち」(配信は4月13日まで)。

 その内容の一部を紹介します。

     ◇

 2012年からフィギュア担当になった後藤デスクは、「羽生さんの取り組み方や考え方には、生きるためのヒントが詰まっていた」。

 全日本選手権3連覇を遂げた14年、羽生さんは「壁の先には、壁しかない」とコメント。数々の実績を積み上げた後、競技生活の終盤に入っても前人未到のクワッドアクセル(4回転半)に挑み、プロ転向後も休む間もなく前例のない挑戦に取り組んでいる。

 「自分で『次に超えるべきもの』を設定している」と後藤デスク。

 羽生さんのそんな姿を見続け、「好きなものを見つけられると、頑張れる。頑張ることで新しいことができるようになる、という良いサイクルに小さい時から入っていた」と感じたという。「楽しいことを見つけることが大事。子どもだけでなく、子どもを導く大人にも、羽生さんの姿を通じて伝えたかった」

 幼い頃から一緒に滑っていた高橋さんには、忘れられない姿がある。11年のアイスショーで共演した時のこと。ミスが続いた羽生さんは演技を終えた後に舞台裏でうずくまり、拳を握りしめていた。失敗への悔しさを自分にぶつけていたという。

 ただ、フィナーレで再びリンクに戻ると、当時は成功確率が低かった4回転ジャンプをきれいに決めた。「見入って、何も言葉が出なかった」

 そこで高橋さんが感じたのは、羽生さんの演技へのプライドだったという。

 「演技の一つ一つに意味を込めている。だからこそ、たった一つの失敗でも無駄にしたくない、という責任感を感じた」

 角野記者は、写真を撮る側の視点から見た羽生さんを語った。「所作が行き届いている、といつも驚く」。スピンやジャンプなど無理な体勢をしている時でも、表情と指先に意識が行き渡っていることに気づいた。「写真的に絵崩れしない選手はそういない。もはや役者やバレエダンサーとか、そういう領域」

 また、報道にも変化があったとみる。以前は、「その写真一枚を見たら何があったか分かる」ように、顔や道具、体の動きが把握できる場面などを撮影するのが報道写真のセオリーだった。

 それが、羽生さんの活躍を通じて、スケート靴が映っていない写真や、影だけの一枚でも見応えがあるものが使われるようになったという。「(報道写真の)文化も変わったのだと思う」と話した。

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