生きた「マイノリティ経験」 わたしが日本を出た理由・反響編

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堀内京子 松浦新
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 1~2月にかけて紙面やデジタル版に掲載した連載「わたしが日本を出た理由」は、様々な理由で海外に拠点を移した人たちが日本に寄せる思いを描きました。連載に寄せられた国内外の読者からの意見を紹介する企画の後編です。(堀内京子、松浦新

 カナダの大学病院で約10年間勤務し、2年前に帰国した医師の川口敦さん(44)は取材班に「『わたしが日本に帰った理由』もありますよ」というお便りをくれた。今は聖マリアンナ医科大(川崎市)で小児ICU(集中治療室)の部長を務めている。

 医学生時代に国際医療NGOでインターンをするなどし、小児医療の道へ。カナダで医師免許を取得し、大学病院でスタッフ医師などとして働いた。永住権も取得し、モントリオールに家も持っていた。

 帰国したのは、日本ではまだ発展途上にある小児集中治療医学を根付かせたいという思いからだ。医療現場が人手不足になる中、カナダで得た知識と経験を共有したいと考えたという。

「異国の暮らし、バラ色ではない」

 子育ての環境の問題もあった。息子はカナダの教育を受ける一方、日本の親戚と会ったり、日本の伝統文化に触れたりすることがどうしてもままならない。カリキュラムの多くを英語で行い、海外大学を目指す私学の中高一貫校に通わせることにして、日本に戻ってきた。

 連載は日本を出て行く人を取り上げたが、川口さんの実感は「その後、日本に帰ってきている人も多い」というもの。海外で得た知識や経験を日本に採り入れる動きも出ている。

 川口さんが率いる職場は海外…

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