羽生結弦、ミスを言葉で振り返る力 「一気に伸びる」記者は予感した

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後藤太輔
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 青い海が広がる港の空に、夕日で黄金色に染まった雲が浮かぶ。大きな客船の脇を、小型のボートがすり抜けていった。

 ソチ五輪シーズンの2013年10月、グランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダは、カナダ東海岸の街セントジョンで行われた。

 羽生結弦とはどんな選手なのかを語ろうとするとき、真っ先に思い出すのが、ここでのできごとだ。

 12年世界選手権を皮切りに、18年平昌五輪まで担当記者として羽生をみてきた。日本男子初の五輪金メダルを19歳で獲得した14年ソチ五輪より、連覇した18年平昌五輪よりも、このスケートカナダが印象に残っている。

 羽生は2位だった。

 予定していた連続3回転ジャンプのうちの一つが、1回転になるミスをした。4回転サルコーで転倒し、4回転トーループでは手をついた。

 優勝したのは、ソチ五輪金メダル最有力とみられていたパトリック・チャン(カナダ)だった。

 フリーを終えたあと、数人の記者と椅子に座り、羽生を囲んだ。リンク近くの商業施設の片隅で。取材というよりも、演技内容や、普段楽しみにしていることについて会話を弾ませた、という雰囲気だった。

 このとき感じたのが、負けた…

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